2016年5月6日金曜日

2016 劇団通信3月号

東野圭吾の「手紙」が、高橋知伽江さんの脚本でミュージカルになって新国立劇場小劇場で上演されました。主人公の弟と刑務所にいる兄との手紙のやりとりがどのような形でミュージカルになるのか、原作からは想像もつかなかっただけに、とにかく観てみようと初日に出かけました。

受付あたりで偶然作者の高橋知伽江さんと出くわし、久々の再会に懐かしく立ち話をしました。「手紙」の脚本は10年越しで暖めていた企画だったらしく、その話を聞いて一層興味が湧いてきました。

会場に入ると普段私たちが使用している小劇場とは全く逆で、客席の入り口が舞台になっており、先ず入場した時から何かあるのかと思わせる雰囲気に驚かされました。開演すると最初は多少違和感を感じながらも次第に引き込まれ、さすがに考え抜かれ工夫された素晴らしい脚本、そしてテンポよく展開する舞台で達者な役者さんが思う存分歌う迫力に圧倒されてしまいました。

上出来、上質の舞台に客席の拍手が鳴り止まず、何度もカーテンコールを繰り返すほどでした。その舞台に「西船橋子どもミュージカル」にいた北川理恵が、主人公の相手役として大活躍していたのには驚きました。出演することは知っていたけどまさかと思う大役、これまでも出演したアニーやレミゼの舞台は何度か観ていますが、今回はいつもと違う感慨が心の底から湧き上がってきました。

「大きな夢」出身の子がこのような形でのし上がって来た喜び、諦めず続けている彼女の努力の成果がしっかり実を結んでいるのを見届け、いつもはほとんど楽屋まで行かない私も真っ先に駆けつけ奮闘を讃えてきました。これからも彼女のように「大きな夢」の出身者がどんどん活躍してくれることを祈らずにはいられません。