2013年6月27日木曜日

2010 劇団通信8月号

人の欠点や失敗を大げさに指摘して喜んでいる人をよく見かけますが、人を悪しざまにののしって自分の方が優位に立ったつもりでいるのでしょうか。そのような人こそ自分がどうしようもない欠点を持っていることを知らなければなりません。確かに人をこき下ろす快感はあるかもしれませんが、自分勝手な言動で他人を傷つけていることに気がつかない愚かな人なのです。ライバル意識を持つことは必要ですが、それはスポーツでも芸術でもそのジャンルの中での競争意識であって、日常生活の中に取り込んで敵対視することでは決してありません。
中傷や誹謗は何らの効果も発揮しないどころか、その人の人間性までも落とし、回りの者まで誰も相手にしなくなってしまう逆効果を生んでしまいます。人をこき下ろすことで一時的には優位に立ったような現象が現れることもありますが、それはほんのわずかの間のことで、長い人生の尺度で考えると必ず精算されていきます。生きていることは自分との闘いです。他人に左右されるものではなく自らを高めていくこと、そのための努力や忍耐、そして相手の立場になって考える心の広さなど、あらゆる体験を通して培っていくものだと思います。
人の欠点を暴きののしることは簡単ですが、他人を思い遣って許してあげることが最も難しいことでもあるのです。「許す」ことが人生において最も大切な愛の表現であるとキリストは言っています。